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無防備地域宣言について

【質問】
 本市において昭和46年以降34年ぶりという地方自治第74条第1項の規定に基づく条例の制定を求める市民の直接請求が行われました。これは、地方参政権有する者の50分の1以上の連署によって条例の制定を請求することができるというものです。西宮市に平和・無防備(戦争非協力)条例を実現する会という市民団体が、去る4月29日から5月28日までの1ヵ月間に規定の約7200筆の3倍近くに上る2万490筆の署名を集めて、6月2日に選挙管理委員会に提出しました。それを受けて、選挙管理委員会の皆様には大変御苦労だったと思いますが、21日に請求者名簿の審査作業を終了し、有効署名数2万8051筆が確定しました。無防備地域宣言とは、世界161ヵ国が批准しており、日本も昨年批准したジュネーブ条約の第1追加議定書の第59条で定められたものです。簡単に言いますと、戦争に協力しないことを日常的に示し、宣言することで、その地域への攻撃は一切禁止されるというものです。同様の市民からの直接請求は、昭和60年奈良県天理市、同63年東京都小平市でありました。この当時はジュネーブ条約が国会の承認を得ておらず、住民請求は議会で否決されています。さらに、条約の批准以降は、昨年の大阪市、枚方市、藤沢市、東京都荒川区での直接請求がありました。でも、しかしやっぱり議会で否決されています。どの場合も市長の意見は、一地方公共団体が無防備都市宣言を行うことができない、また、たとえ宣言したとしても効力を有しない、当宣言はその地区の防衛に責任を有する国においてのみ行われるべきものであるという国の見解を丸呑みにしたものばかりです。外務省は、1977年に作成されたジュネーブ条約の追加議定書を27年もたった去年に批准するに至った背景には、有事関連7法といった事態対処法制の整備がなされたことにあったと発言しています。もともとジュネーブ条約及び議定書は、国際人道法と総称される条約体系にあって、戦争の際の大量殺りくや捕虜の虐待、非戦闘員への攻撃禁止などのルールとして位置づけられており、戦時国際法というものです。ですから、こういった戦時国際法を批准するに至る日本の変化というものを敏感に感じ取っての各地での署名活動、直接請求の運動になっているのです。私は、これまで日本が憲法9条をしっかり守っていれば絶対にこのような動きには至ってないと考えます。外務省は、有事関連7法案を整備することにおいて国内的な法整備をひとまず終え、その上で国際人道法の的確な実施を確保するためにジュネーブ条約を批准したということです。そうであればこのような姿勢から感じ取れるのは、日本を戦争しない国から戦争する国に変えました、だからもしもの時のことを考えて戦時国際法も準備しました、これで安心して戦えますよと感じ取れるのですが、どうでしょうか。
 外務省がいう国際的な法整備の中、昨年6月成立、公布された国民保護法なのですが、これは、外部からの武力攻撃や大規模テロから国民を保護し、国民生活に与える影響を最小とするため、国や地方公共団体の責務、住民の避難や援護など、国民の保護に必要な事項について定めています。その国民保護法の第40条では市長を長とする市町村協議会の組織づくりについて、同第42条では、市長は国民の保護のための措置に関する事務または業務に従事する職員の配置及び服務の基準を定めなければならない、などなど、市町村長は云々という条文が数多く見受けられます。この国民保護法で位置づけられている地方公共団体の重要な役割を考えたとき、本当に一地方公共団体は防衛に責任が持てない組織なのでしょうか。外務省の見解では、有事関連法の成立、公布とジュネーブ条約の批准には密接な関係があると位置づけているわけですが、その中での地方公共団体の位置づけが前者と後者においては180度違っていないでしょうか。大きな矛盾を感じます。
 そこで質問ですが、市長は、国民保護法による組織づくりやその上での有事を想定した避難訓練など、どのように取り組もうと考えておられるのか、お聞かせください。
 そして、さきにも言いましたように、国民保護法で位置づけられた地方公共団体とジュネーブ条約で位置づけられた地方公共団体との違いについて、市長の意見をお聞かせください。
 さらに、昨年秋の市長選挙で市長が得た票数の約3分の1、平成15年度の市議会議員選挙での全員の獲得した票数の7分の1という2万票にも迫る署名の重みについてどうお考えかもお聞かせください。

【回答/総合企画局長】
 国民保護法は、万一我が国が武力攻撃などを受けた場合、国民の生命、身体、財産を保護し、国民生活や国民経済に及ぼす影響を最小限にとどめることを目的とした法律でございまして、昨年の6月に制定をされております。また、ジュネーブ条約の追加議定書につきましても、同時に承認をされております。
 お尋ねの国民保護法による組織づくりや避難訓練などについてでございますが、国民保護法により、地方公共団体は国民保護計画を定めなければならない、このようにされております。また、その際には、市長を長とする関係者から成る国民保護協議会に諮ることとなっております。今年の3月に示されました国の基本指針に基づき、現在、都道府県においてこの国民保護計画の策定が取り組まれております。平成18年度には、この都道府県の計画を受けまして、市町村が計画策定を行うこととなっております。したがいまして、現時点では、兵庫県は計画策定中でございまして、具体的な内容は示されておりませんので、本市の協議会の組織づくりや避難訓練などについて具体的な検討を行なう段階には至っておりません。
 2点目の地方公共団体の位置づけでございます。国民保護法での市の役割といたしましては、国や県の指示に基づく住民の避難や救援が中心でありました、地域の防衛に関してのものではございません。この法律では定めはないものの、武力攻撃などの対処は当然国において行われることになります。ジュネーブ条約第1追加議定書の無防備地域宣言は、この地域の防衛に責任を有する国において行うこととなっておりまして、いずれも我が国の防衛は国において行われることになり、矛盾はないと考えております。
 3点目の2万名に迫る署名についてでございます。本市は、昭和58年12月10日に、議会の賛同もいただき、兵庫県下でいち早く平和非核都市宣言を行い、平和の実現や非核三原則についての考え方を内外に明らかにし、さまざまな平和施策に取り組んできたところでございます。今回の条例制定の直接請求につきましては、6月2日に2万490名の署名が選挙管理委員会に提出され、審査を経まして1万8051名が有効署名と認定されていると伺っております。このように、国際平和を願う多くの市民の方々の熱意は真摯に受けとめねばならないと考えております。

【再質問】
 署名の重みは真摯に受け止める、しかし、国民保護計画については、市町村において来年度の策定ですから、今年度の県の計画を待ってから決めるということ、また質問が時期尚早というものでした。もう一つ、防衛は国の専管事項ということで、でも、無防備という防衛の一手段においては地方で判断できると思うのです。それと、もう1ヵ所、ジュネーブ条約第1追加議定書の無防備地域宣言はこの地域の防衛に責任を有する国において行うことになっておりという箇所、これ、かなり解釈が違います。いろいろあるんですけれどもね。これはまた委員会に譲ります。私も参加しますので。
 それでは真摯に受け止めていただいた署名のことですが、なぜこんなに多くの署名が集まったのかを考えます。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」。日本国憲法前文の抜粋です。それと、日本国憲法9条ですね、国の交戦権はこれを一切認めない。この憲法の精神がしっかり守られていない、最近の日本は何か変だぞという気持ち、これが多くの人に広がっているからこそ多くの署名が集まったのだと思います。私も受任者として署名を集めてまいりましたが、人々の間に平和を望む声がかなり大きく、改めて驚かされました。この運動は自分でも思ってもいないような大きな広がりを見せました。特にお母さん方は、自分の子どもたちを絶対戦場に行かせたくないないという思いが強く、今の世相として抑止力としての憲法の拡大解釈に強い危機感を持っている人が多かったのです。でも、中には、自分の家に強盗が入ってきても何もしないのかとか、戦争になったら後ろを向いて逃げるのかとか言う人もいました。でも、それは違うのです。ここに流れている精神は、強盗が入るかもしれないから家にあらかじめピストルを保持するのではなくて、皆がピストルを持つのを止めて、ピストルはお巡りさん、国連だけが持ち、治安を維持するのです。戦争になったら逃げるのではなく、無防備は全世界から戦争をするための武器をなくすための、気が遠くなるほど長い道かもしれないけども、その道のりの第一歩なのです。抑止力、抑止力とか言い出したら行きつくところは際限なくなってしまいます。日本には世界に誇れる平和憲法があるのです。そして、「寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないこと」という国家同士の戦争を禁じている国連憲章を保持する国連にももちろん加盟しているのです。さらに、広島、長崎においては、女性・子どもを含む非戦闘員の20万人以上の命が核爆弾によって一瞬のうちに失われ、現在に至っても被爆者手帳を持って原爆症と闘っている人が日本全国に27万人以上もいるのです。無防備都市宣言は、そんな唯一の被爆国であり、不戦の憲法を持つ日本だからこそできる平和への一歩だと思います。この直接請求のための署名活動は、京都や札幌など、どんどんと横に広がりをみせています。枚方市においては、再度署名を集めて直接請求を行うとまで言っています。そんな中で一地方都市の西宮市が一足早く無防備都市宣言をすることはものすごく意義のあることだと考えます。現在、いろんなところで憲法改正の声も聞かれるようになりましたが、市長におかれましては、この憲法改正問題と憲法の精神と無防備都市宣言の関係についてどのようにお考えか、見解をお聞かせください。


【回答/市長】
 憲法改正問題と無防備都市宣言についての再質問にお答えします。憲法の基本理念であります平和主義、そして国際協調主義の考え方につきましては、将来にわたって堅持すべきものと考えております。また、憲法問題、この問題につきましては、国民的な論議を充分に深めていくということが極めて重要なことであると考えております。
 次に無防備都市宣言についてでございますが、無防備都市条例制定の直接請求は、現在のところ市長として受理している段階ではございませんので、意見につきましては差し控えさせていただきたいと存じます。

【要望と質問】
 2003年3月20日、アメリカがイギリスと一緒にイラクを攻めました。これ、国連の安保理の承諾決議なしにせめていきました。8月1日に日本はすぐイラク特措法を公布して、その日のうちにすぐ施行するという、そういう形で自衛隊を派遣できるようにしました。人道的な派遣と言ってます。でも、丸腰で行っているわけじゃないんですよ。だんだんだんだん憲法解釈拡大してきて、おかしくなってきてるんです。そういうことに対して歯止めをかける運動だと思うんです。ある程度じわじわ行ってしまった、昔はPKOだけだった、それに対していろんなところに派遣するようになってします、そういうものに対する歯止めはかけようがないんですよ。ですから、こういう運動が起こってくるんです。今はまだちゃんと上程されていないから答弁できないとおっしゃったんですけども、最後に質問します。常任委員会にこれ付託されるわけですけども、市長はその総務常任委員会、審議に出てきていただけるんでしょうか、どうでしょうか。それだけ教えてください。

【回答/市長】
 委員会の出席につきましては、今後検討してまいります。

【要望】
 もう時間ないですけども、今、アメリカの軍事予算、2位から9位まで中国、ロシア、日本、イギリス、フランス、イタリア、サウジアラビア、ブラジル、その辺全部足してもアメリカの軍事予算の方が大きいんですよ。こういうアメリカ主導型の今の国際情勢、このまま日本、本当に追従していってどうするんや、アメリカは国連憲章ちゃんと守れよ、日本は9条をちゃんと守る国になろうよ、こういうことをやっぱりちゃんと考えていくべきだと思います。